1999年9月に「イスラエル・モニターツアー」に行った旅行記を 291回にわたって掲載してきた。この目的は聖書に登場するさまざまな地で、私が見て回った所を紹介させて頂くことであった。そのために1999年のツアーでは行かなかったが、1994年に滞在した時に見た場所も合わせ補足して記載した。

 このシリーズが終了した今、今度は1994年に6ケ月間キブツで生活した経験を「キブツ滞在記」として連載したいと思うようになった。実は1995年3月12日の週報から7回にわたって連載させて頂いたが途中で筆を折ってしまっていた。

 それを読んでくださった方には重複することになり、又、旅行記とも内容が重なることもしばしばあるが、今回はイスラエルの自然、気候、ユダヤ人の文化、宗教、生活などに焦点を当てて書いてゆくことになる。

 イスラエルに半年間滞在したといっても言葉(英・ヘブライ語会話)がろくに出来ない私のことなので深いところのことは殆どわからないまま帰国したのだが、その後100冊を超える書籍(イスラエル・中東関連)を読んで知識不足を少しばかり補うことができた。それらを合わせて書き進めたいと願っている。

 そもそも私が「イスラエル紀行」「キブツ滞在記」を執筆しようとした動機は何か。自分の経験を書き残しておくだけならば、日記、写真、地図などで充分である。わざわざこれだけのものを書くのには、他に目的があるからである。

 イスラエル旅行から帰国して、或る先輩牧師宅にささやかな土産を持参した際、その師は私にこう言って下さった。「私はイスラエルに行きたくてもこの体ではその願いは叶わない。そのような者のために、体験した者はその経験を分かち合う義務(使命)があるのではないか」と。

 この言葉は私の心に重く響いた。そこで私は教会の週報に少しずつ書き続け、その師に週報を送り続けた。そして、その師は、感謝と励ましの言葉を送り続けて下さった。それで、私は手抜きすることなく、私が見たこと、知ったことを出来るだけもらさず書くように努めた。

 今回の「キブツ滞在記」も同じ思いで書き続けたいと願っている。キブツ滞在のために渡航費の一として多くの方々から善意のご支援を頂いたことに今も大きな感謝を抱いている。それらの方々もこの「キブツ滞在記」の共同執筆者なのである。感謝を込めて。

あすか野キリスト教会 牧師:吉川 幸雄