エルサレム独り旅(19)

 オリーブ山上の昇天会堂を再度見てカメラに収めておこうと思って敷地の門前まで行ったが、ここで土産物を売っているアラブ人青年が両手を広げて行く手を遮り、「入るな」と言う。ここは入場自由(無料)のはずであるが、アラブ人地域では何が起こるかわからない。シロアムの池でも同様の経験をしていたので、無理を通さず引き下がることにした。

 さてオリーブ山の東側のベタニヤへはどう行けば良いのであろうか。しばらくたたずんで周囲を見ていると、一人の小柄な初老の男性が近づいて私に話しかけてきた。「何か捜しているのか」と言ったので「ベタニヤへ行く道を知りたい」と答えた。すると「すぐそこに抜け道があるよ」と小さな売店を指さした。「その店の左側の細道を抜けて行くとベタニヤへ行ける」と言う。

 彼は私に「あなたは誰か」と尋ねたので「私は日本から来た教会の牧師だ」と答えた。彼は「私も牧師だ。アパルーム(最後の晩餐の部屋)で週二回祈り会をしている」と言って名刺をくれた。その上「私は安い宿を知っている。ゲッセマネの園のすぐ近くだ。一泊10シェケル(約300円)」と教えてくれた。私は礼を言って、彼が教えてくれたべタニヤの道の方へ歩いて行くことにした。