エルサレム独り旅(20)

 アラブ人に教えてもらった小さな売店の横の細道をくぐり抜けると両側を石壁で挟まれた通路があり 10mほど進むと直角に左側に折れ、そのまま真直ぐ行くと少し広い道に出た。

 その道は弧を描くように丸く右側に曲がっている。左側はオリーブ山側になっていてアラブ人の家々がぎっしり建ち並んでいる。右側は深い谷になっている。谷の向う側には遠くに建物の集落が見える。ベツレヘムがある方向だ。

 一本道を少しづつ下りながら歩いて行くと道が南側に向く辺りで左右に道が別れている。真直ぐに南へ下ってゆく道と左に折れて東の方向に行く道だ。さあ、どっちの道を行けばベタニヤに通じているのか。

 分岐点の少し手前で立ち止まって迷っていると、すぐ後ろに座っている老人の男性が居る。彼は巨大な鉄製の扉の前に居た。その扉にはペンキでベテファゲコンベントと大きく書かれていた。「あっ!ここがベテファゲなのだ」と私の心がときめいた。

 イエス様がエルサレムに入場する時に乗った子ロバを調達された村だ(マタイ21:1,2)。「聖書に書かれてあるとおりだ!!」思いがけないベテファゲ村との遭遇に私の心は高鳴ったのである。その感動の冷めやらぬうちに私はその老人にベタニヤへの道を尋ねた。

 その老人は左に折れる道を行くようにと教えてくれた。そして彼に礼を言って左に折れて行こうとしたが正面にある丘の上に新しい教会堂が建っているのが見えた。あの教会堂はどういうものであるか、行って見てみたいと思ったが、この丘の頂上まで行く気力が湧いてこない。足はだるく、喉も乾ききっている…。