エルサレム独り旅(21)

 ベテファゲコンベントの南にある小高い丘の上にある教会堂へは結局行くことなく、左側の道をベタニヤに向けて歩き始めた。後で聖書を読んでいると「イエスはそこから彼ら(弟子たち)をベタニヤ辺りまで連れて行き・・・彼らを離れ、天に上げられた」(ルカ 24:50,51)と書かれてあるのに気がついた。

 イエス様が昇天された場所はオリーブ山頂ではなく、べタニヤの近くであったとルカは録している。この丘の東斜面がベタニヤ村なので、キリスト昇天の場所はこの丘の上であったのかも知れない。次回訪れる機会が、もしあれば是非上って見たい丘である。

 左に折れて東に向かう道は左側は竹林、右側は高い石壁が続いていてとても静かで人一人通っていない道だ。一人で歩いていると自分の足音と竹の葉の擦れる音だけが高い石壁に反射して響いてくる。何か寂しく不気味な気分になる。そこを通り過ぎると正面に民家が見え、左側に畑があった。その畑に入って東側の景色を見たが、残念ながら死海は見えなかった。

 道に戻って道なりに右に曲がると急な下り坂で、まるですべり台のような道だ。何かにすがらないと下までそのままずるずると滑り落ちてしまうほどの坂なのだ。主イエス様と弟子たちはこんな急な坂道を上り下りしてベタニヤとエルサレムの往復をなさったのか!と思い、ここに来て良かったという実感が湧いてきた。