エルサレム独り旅(22)

 急坂の上から南東方向を見渡すと東方にはユダの荒野が見え、その中にユダヤ人の入植地らしい場所が見える。すぐ前にはベタニヤ村と、崩れてしまっている古い遺蹟、いくつかの教会堂がある。

 私は50mほどの急坂を滑るようにして下った。坂を下り終わった所で道が分かれ、直進は上り坂、左の道は更に急な下り坂が続いている。左折して坂を下って歩いて行くと数 10mほど下った所で左側の土産物店の中から、店主らしいアラブ人婦人が出て来て、私に英語で何かを語りかけて来た。

 店の真向かいにある岩に掘られた穴の入口を指差して、大声で「2.5 シェケル(約70円)」と叫ぶ。どうやら、ここがラザロの墓の入口らしく、その入場券を支払えと言っているようだ。あまりの強引さに不快感を抱いて素通りした。

 その穴の入口には「ラザロの墓(英字)」のプレートが貼り付けてあった。ラザロについてはヨハネ福音書 11章に詳しく書かれている。そこから少し下ってゆくと右側に大きな教会堂があり、その敷地に入る鉄柵の戸口が開いていたので、そこから入って行った。

 前庭(通路)は古めかしい。右側には昔の家畜小屋や物置場と思われるスペースがあり、左側がマリヤとマルタの家の記念会堂の入口である。入口から入るとロビーかあり、そこにテーブルが置かれていて、この教会堂のパンフレット(手帳サイズの二つ折り 4ページ英文)が置かれていて、その横に募金箱が置かれている。パンフレットを一枚もらって正面の礼拝堂に入ろうとすると、一人の神父が近づいて来た。