ツアーの人々との団体生活(19)

 キブツの広大な土地の南西側には小高く盛り上がった松の林(植林)がある。ヨハナンは私たちをその林の中へ連れて入った。足元の周囲をよく見ると、古い石造りの建て物(町)が埋まって出来た丘であることがわかる。

 石の建材のようなものやアーチの最上部などが露出しているのである。ヨハナンは大きな丸い石がある場所の前で立ち止まり、その石を転がして少し移動させた。その石の下には直径40cm位の穴が開いていた。穴の周囲は石のように硬く固められている。

 中を覗いてみると、大きな空洞になっている。暗いので深さがどれくらいなのかは分からない。口は40cmほどだが中は三角フラスコ(理科の実験などで用いた)型をしていて、かなり大きな空間だという。ヨハナンの説明ではこれは古代の貯水用井戸で、雨期(11月〜3月)に降った雨水をこの穴に流れ込むようにして貯え長い乾期に備えるものである。

 この井戸は雨期なのに中は空であった。後に行ったアラブ人の村にあったものは満水で道路にまで溢れていたこれはヤコブの子ヨセフが兄たちに投げ込まれた穴(創世記37:24)と同型のものだそうだ。