ツアーの人々との団体生活(67)

 ガリラヤ湖から北に上り、車で10分程走り左折して細く曲がりくねった未舗装の道に入った。車は大きく揺れ、車内は大騒ぎだが、そんなことはお構いなしに坂道を下る。まもなく河岸に出て全員下車した。ここでキブツ側で準備してくれた昼食を摂るのである。

 ここはヘルモン山、バニアス (フィリポカイザリヤ)、ダン辺りから流れ下ってガリラヤ湖に注ぐヨルダン川の岸辺である。驚いたのはここは以前対岸と橋で結ばれた道路であったということだ。石橋が破壊され、川の中央で折れて落ちており、対岸には西方向に通じる道がある。

 道の両側は雑草が繁り、この道路が使用されなくなって何年かを経ていることがわかる。中東戦争(多分シリアとの戦い)の時に破壊されたのであろう。川幅はさほど広くはないが、雪解け水のためか水量はとても多く、その流れも速い。その水が落ちた石橋に激突して激しい渦巻きを生じさせて、その石を乗り越えて流れ下っていく様は今も目に焼き付いている。

 ユダヤ人たちがこの地に戻って来てからも永く続く周辺国との厳しい戦いを強いられて来たことを、いやがうえにも想起させられる光景である。尽きることなく流れ下ってゆくヨルダン川の流れを見ていると、時の流れにも似ているようにも思えてきた。