ツアーの人々との団体生活(68)

 早春のヨルダン川上流の水はヘルモン山の雪解け水も混じっているためかとても冷たかったが、澄んではおらず薄茶色に濁っている。そのままではとても飲めるようなものではなかった。それに大きな枯れ枝やゴミなども次々と流れ下って来て、落ちた石橋に絡まっている。

 ヨルダン川の流れを充分に堪能してから車に戻ろうとしたが右後輪がパンクしていて修理中だという。タイヤ交換に手間取っている間、川に小石を投げ込んだりして時間をつぶした。

 その後私たちが向かったのはガリラヤ湖畔のタブハという所であった。そこには「パンと魚の増加教会」の会堂があり、そこを見物した。古い建物と新しい建物が混在している。古いものは「ベネディクト派」の僧院、新しい方が会堂で、ここもアーチ状の柱の回廊が庭に面していて、その白っぽい壁が印象的である。

 会堂内の石の祭壇の前には、古いビザンチン時代のモザイク石の床が残されている。絵柄は籠に入った四個のパンと二匹の魚。四つの福音書 すべてに書かれている、5つのパンと2匹の魚で5000人の空腹を満たした主イエスの奇跡を記念する会堂である。紀元 350年には既にここに会堂が建てられていて、6世紀に修復され、現在のものはその土台の上に建てられているのだという。ガリラヤ湖畔では最も古い歴史を有する教会堂なのだ。