キブツへの道(1)

「人の心には多くの計らいがある。主の御旨のみが実現する。」(箴言 19:21)

 何故、牧師がイスラエルのキブツで6ヶ月間もワーキング・ヴォランティアとして滞在することになったのか、と不思議に思われる読者も多いと思う。実際、私がイスラエルに出発する前に私に非難めいた言葉を投げかけた同僚の牧師もいた。しかし、私にはそれなりの理由(事情)があったのである。

 牧師でなくても聖書にそれなりの関心を持つ人ならば、1948年に独立を勝ち取ったイスラエルに無関心な人は少ないと思う。しかし、実際にそのイスラエルに行くことを考えるとなると話は別である。1980年から夙川教会に赴任し、4人の子供を与えられ伝道牧会に携わっていた私がイスラエル行きを考えることは全くなかったし、又、そういうことは非現実的ですらあった。

 アドベントの先輩の牧師が何人かイスラエルへツアーで行かれたことを聞いた時にも、私にはどこか遠い世界の出来事としか思えなかった。しかし、イスラエルへの想いは私の心の中に少しずつ蓄積されてゆくことになる。