独りヴォランティア(3)

 3/24(木)5:30起床、エルサレムのホテルで食べ残して持ち帰っていたカチカチになったパン一個とコーヒーで軽食をとって、6:30 より今日もガーデンの仕事をする。アブラハムと二人で除草液を散布した。アプラハムと二人で歩きながら、彼が指示した場所に散水するのだが、雑草といってもどれもこれも綺麗な花が咲いている。

 そんなこともお構いなしに道端に生えた野草を枯らすのである。しかしシクラメンだけはどこに咲いていても散水してはならないのであった。この日も言葉が通じないための失敗をしてしまった。彼から注意された時、私は咄嗟に昨夜ポケットに入れておいた紙切れを彼の目前に突き出した。

 そこにはヘブライ語で「スリハー(ごめんなさい)」と書かれている。それを読んだ彼は大声を発し、満面に笑みを浮かべて笑い出した。暫くその笑いが止まらず、ようやく笑いをこらえた彼は私に抱きついて来た。この時から彼は急に親しみを表し、いろんなことを私に語りかけ、自分の事を話すと共に私にも質問してきたのである。

 彼も私と同じ46歳、私より4ヶ月だけ年上だが、未だ独身であることも知った。彼は私と同じ背丈だが小太りで顔は年取ったアンパンマンに似た丸顔である。髪は短くカールしていて薄くなっているが、その笑顔は素晴らしい。失敗を契機に私は良き友を与えられたのである。