独りヴォランティア(4)

 アブラハムが私に尋ねたことは、家族のこと、職業、キプツに来た理由、滞在期間などであった。私は自分が牧師であることを彼に語った時、全く拒絶反応を示すことなく笑顔でこう語った。「イエスもペテロもヨハネもパウロも皆ユダヤ人なんだよ」と。

 通常多くのユダヤ人はクリスチャンや宣教師を悪魔以上に嫌悪し怖れるのだと言う。それは、この二千年間彼らが教会や宣教師、クリスチャンの名の下で私たちの想像を絶するような迫害を受けてきたからである。しかし、アブラハムは私に対して自慢げにそう言ったのである。 私は「その通りキリスト教はユダヤ人によって出来たのだよ」と答え、私とアブラハムとは意気投合していくのである。

 彼は「私の車でイスラエルのいろんな所へ案内してあげよう」とまで言ってくれたが、この約束は残念ながら果たされることはなかった。一つの例外だけを除いてだが、そのことは又後で述べる。

 この日の夜はドフ氏による四回目のヘブライ語教室である。この日は一日の生活をヘブライ語で話すという課題で、ドフ氏のキブツ生活の一日を話して下さった。私の理解力に合わせて忍耐強く丁寧に教えて下さる。宿題は日本での私の一日をヘプライ語で報告する事であった。8:30~9:50 までの学びで私は疲れ果ててしまった。部屋に戻ると祈って直ぐに床に就いた。