独りヴォランティア(5)

 3/25(金)この日は一人でガーデンの作業をした。中央食堂周辺の花の除草である。花の中に入って一本一本雑草を丁寧に引き抜いていると、側を通りがかったキブツ住民のご老人が笑顔で「ビューティフル」と声をかけて下さり「ジャパニーズガーディナーイズナンバーワン」と言って下さる。

 多くのキブツ住民のご老人は外国人ヴォランティアに対して好意的ではない。服装や生活態度を見て顔をしかめ、あまり近づいて来られない。しかし、以前私が中央食堂裏の一画に植えられている杉の枝の刈り込み作業をしているのを見て、何人かのご老人が「ワンダフル」と声をかけて下さった事があった。

 日本の庭師が庭の杉を丸く刈るのを真似て刈っていたのである。今回は極く小さな雑草までも完全に抜き取ってパンジーの苗だけ残るようにしていたのであるが、この作業ぶりが気に入れられたようだった。この日以来、何人かのご老人が朝、顔を合わせると「ボケルトープ(おはよう)」と挨拶して下さるようになった。

 キブツの住民は、植物、花をとても愛し大切にしておられる事がよく判った。作業後、私の除草した花を見たアブラハムは「とても美しい、昨日の仕事と今日の仕事とどちらが好きか」と言った。私は「今日の方だ」と答えると、なるほどと頷いてくれた。この日は日没から安息日なので労働は午前中だけであった。