エルサレム独り旅(12)

 この大きな石塔はユダヤの言い伝えでは「ゼカリヤの墓」と呼ばれているもので厳密な時代考証などは行われていないようだ。紀元前2世紀頃のものという説から 4~5世紀のもの説があり、さまざまである。

 ユダヤ人は預言者ゼカリヤ(祭司エホヤダの子、石打され殉教した。歴代下24:20-22、マタイ 23:25)、クリスチャンたちはパプテスマのヨハネの父、祭司ザカリヤ(ルカ1:5)の墓とみなしているという。下の部分は高さ5m、横幅と奥行きは共に4mほどの長方型でその上にピラミッド型の屋根がついている。

 この墓の両側には崖の中央ぐらいの所に窓枠のようなものがついた洞窟が掘られている、右側のものは前回不明と書いたがその中には26の棺室があり、ユダヤ人たちは預言者ハガイやマラキたちの墓としているそうだ。

 左側のものは、この中から発見された碑文によりヘロデ王時代の祭司へジル家のものと判明している。又、それ以前にはユダの王アザルヤが重い皮膚病で隔離された部屋がこれであるとも伝えられている(列王下 15:5)。

 確かにギロドンの谷を挟んで向かい側はダビデの町であるのでその可能性がゼロとは言えない。更にその北側へ歩くとアプサロムの塔と呼ばれている大きな石造物が立っている。トンガリ屋根がついていて高さは十数メートルもあるだろうか。