エルサレム独り旅(18)

 キデロンの谷を渡るとすぐ正面がゲッセマネの園跡とされる場所である。オリーブ山西麓のこの辺一帯は昔はオリーブ畑が広がっていたと伝えられているが、現在はゲッセマネの園跡とされる狭い場所にしか残されていない。

 ここは以前にS師たちと訪れているが北側にある庭の小さな入り口を通って中に入った。高い鉄柵に囲まれたオリーブ畑に樹齢二千年とも言われる古木が8本グロテスクな幹を曝している。その奥には万国民の教会堂が建っている。4世紀に建てられた会堂跡の上に 1919年に再建された巨大な建物で入場料は要らない。

 ここで少し休憩してから、オリーブ山頂を目指して登り始めた。大変急な坂でハーハーと息をたて、手を太ももに当てがいながら登りつづけた。この坂はダビデ王も主イエス様も登った道であろう、とその頃の情景を胸に描きながら歩いた。

 ダビデ王は息子アブサロムから逃れるために「ダビデは頭を覆い、はだし(素足)でオリーブ山の坂道を上って行った。同行した兵士たちも皆、それぞれ頭を覆い、泣きながら上っていった。」と録されてある(サムエル下 15:30)。

 また、主イエス様も受難の週にベタニヤからエルサレム神殿へと何度も弟子たちと往復なさった道だ(マタイ 21:17,18他)。そして私はまさに今、かって主が弟子たちと歩まれたその道を辿ってベタニヤまで行こうと企だてているのである。そしてようやく山頂にある昇天会堂まで登りきることが出来た。