キブツ到着(1)

 タクシーは公道からキブツの私道と思われる道へと右折した。道路の両側には丈の高い樹木が植えられていて、林の中を走っているような印象を受ける。

 道路に2ヶ所ほど、10cmほど盛り上げてある箇所があり、その前で車は徐行し、ガクンと車体が揺らされて、そこを越えてゆく。直線道路なので、スピードの出し過ぎを防止する安全策である。

 500mほど走ると右手に小さな守衛小屋のような建物があり、ここがキブツの入口なのかな、と思った。何のチェックを受けることもなく、そこを素通りして、更に数百メートル進むと、キブツの玄関口にある停車場に着いた。

 正面(西側)が少し高くなっているなだらかな斜面の広場で、大きな路線バスも楽々とハンドルを切って回れるほどの広さがある。私の手帳には朝8時半頃到着とメモされている。

 タクシーを下車し荷物を降ろして、私たちは急いですぐ先にあるキブツの中央(共同)食堂に駆け込んだ。降雨のためだけでなく、朝食時間に間に合うためであった。通常、朝食は8時から8時半までに済ませ、すぐ仕事場へと向かうのである。

 こうして私たちはイスラエルでの最初の食事を慌ただしい雰囲気の中で食したのであった。

キブツ ”マアニット” の全景