次にヨハナンが私達を導いたのは古くて壊れかかった木造家屋横の巨木の下であった。木の丈は10m以上あり、枝葉も立派に繁っているので、その場所は真昼なのに薄暗い。幹は脂肪太りしたような直径 1.5mはある白っぽいもので、豚の皮膚のような皮である。
枝の先に沢山の小さな実をつけているが、その直径は1cmほどしかない。実の形はいちじくと同じだが、これ以上大きくはならず、葉は普通の形(たとえば楠の葉)である。この木がエリコの町で取税人の頭ザアカイが登った「いちじく桑の木」(ルカ 19:4)だという。
幹の下の方から枝分かれをしているので、一見すぐにも登れそうなので私も登ってみようと思い、手をかけてみたが、幹はすべすべで太いので、とても歯が立たない。脚立のようなものがないと無理である。
ザアカイは背が低かった(ルカ 19:3)と書いてあるから、彼がこの木に登るのは相当大変だったろうなと私は思った。単なる好奇心だけではない何かが彼の心にあり、主イエスもその心をご存知だったのではないか、とこの木を前にして私は考えていた。