ツアーの人々との団体生活(14)

 次に向かったのは「いなご豆」の木の下であった。先の「いちじく桑」もこの「いなご豆」も初めて目にする木であるが、「いなご豆」は「いちじく桑」に比べるとずっと小ぶりで高さは4〜5m。幹や枝から豆のさやが4〜5本、束になってぶら下がっている。

 そら豆が痩せ細ったような形のさやである。この「いなご豆」は聖書にはただ一回のみ言及されているのだが、案外知られている。それは主イエスが語られた最も有名なたとえの一つ、「放蕩息子」に登場するからである(ルカ 15:16)。

 「彼は豚の食べるいなご豆を食べてでも腹を満たしたかったが・・・」と主イエスは語っておられる。日本ではそら豆のさやは豚の餌にされていると聞いたことがあったので、「いなご豆」が豚の餌とされていたことが現物を見て納得できた。

 ヨハナンは「いなご豆」は豆ではなく、さやを食用にすることを教えてくれた。6月頃にさやが黒色になってから食用にするのだという。今もアラブ人はさやを煮出して汁を取り、愛飲しているし、古代には貴重な食料として食されていたのだ。