ツアーの人々との団体生活(18)

 古代の墓の中から出て、墓の裏手の雑草の生い繁っている所へヨハナンは草をかき分けながら進んでゆく。雑草に囲まれて何本かの木々も生えている。ヨハナンは右側の木の前に私たちを導いた。ごく普通に見える木だが、高さは約 2.5m、細めの枝がからまり合って横に拡がって伸びている。

 これはピスタチオの木だ、と言ってヨハナンは旧約サムエル記下18章9節を開いて読んだ。「アブサロムがダビデの家臣に出会ったとき、彼はらばに乗っていたが、らばが樫の大木のからまり合った枝の下を通ったので頭(髪)がその木にひっかかり、彼は天と地の間に宙づりになった。乗っていたらばはそのまま走り過ぎてしまった」という箇所だ。

 その直後彼は父ダビデ王の将軍ヨアブに殺されてしまうのである。日本語訳では樫の木となっているが、ヘブライ語(英語)ではピスタチオだという。

 確かに樫の木の枝はからまり合うようなものではない。このピスタチオの枝なら長髪のアブサロム(同14章25~26節)の頭はひっかかってしまうだろう。現物を見て納得した。帰国して店でピスタチオの実を見るたびにこのことを思い出す。