ツアーの人々との団体生活(17)

 次にヨハナンは私たちをキブツの住居から少し離れた西方向に導いて行った。小径の途中の左下側に掘られた穴のようなものが見える。その穴の入口は窓のような形で幅が1m、上下の高さが50mほどしかない。その入口は地面より低く、石段を3段降りた先にある。その狭い入口をくぐって中に入ってみると、畳3畳ぐらいの四角い部屋になっていて、床から天井までは 1.5mほどしかなく、腰を屈めていなければならない。

 その中に古い石棺が正面に横向きに1つ、左壁に縦向きに1つ置かれていて、それぞれの上に日本の古い屋根の形をした大きな石の蓋が置かれていた。大人が二、三人寄ってもとても持ち上げられそうもない大きさだ。

 その石棺の横側の一部は壊されていた。この墓の内部はかなり暗かったが、割れた部分から棺の中を覗いて見たところ、空であった。石棺の側面にはぶどうの房などのデザインが浮き駆りで刻まれていて立派なものであった。

 外に出て入口の右側を見ると戸袋のようなものがあり、以前にはここに大きな丸い石があって、それを転がして入口を閉じる構造になっている。この墓はローマ時代(紀元前後)のものだという。