ツアーの人々との団体生活(56)

 3月9日(水)、この日はキブツがヴォランティアのために月一回催す日帰り旅行(ヴォランティア・トゥリップ)の日である。目的地はガリラヤ湖周辺とのこと。6時起床だが睡眠が不足して体が重く起床が辛い。

 キブツの年代物のワゴン車に乗って7時半に出発。日本人は前2列の席に陣取り、他のヴォランティアは後部で賑やかに喋り続けている。車は65号線(アフラ街道)を北東方向に走る。私は窓の外の景色に釘付けになりながら、時々ツアーリーダーS師が説明して下さる言葉に耳を傾ける。以下の説明の多くはS師によるものである。

 途中にある村々の殆どはアラブ人の村で、その目印は高い塔と月のデザインのあるモスクだそうだ。それらの村の多くは山の上にある(「山の上にある町は隠れることができない」マタイ 5:14)。

 買物をするにも水を汲むにも不便な山の上に人々はどうして住もうとするのだろう。古代から平地は常に戦場と化し、容易に略奪されるので、少しは安全な山頂に住むのだという。又、山頂だと敵をいち早く発見することが出来るからとの説明を受けた。

 「山の上にある町」と何気無く読んでいた主イエスの言葉だったが、現地に来て見て、平地よりも、むしろ山の上に多くの村落があるという、この地では誰もが日常的に知っている背景の下に語られていたのだ、と認識を深められたのであった。