ドフ氏からキブツの話を聞き終えて私たちは昼食までの時間、近くの丘を散歩した。春の野花の絨毯の上で心ゆくまで楽しんだ。「シャロンの花イエスきみよ」の賛美が自然と口から湧き出てくる。ぎっしり詰まったスケジュールの日々を過ごしてきた私たちにとってまさに安息の時であった。
昼食後、午後1時からヨハナンが私たちを車でカイザリアの遺蹟へ案内してくれた。カイザリアはテルアヴィブ・ヤッファ(ヨッパ)の北約50kmの地中海沿岸にある古代遺蹟で、現在も発掘が続行中である。
イスラエルではキサリアと呼ばれ、現在は遺蹟周辺に高級住宅地が造成され、政府高官らの面々が住んでいるそうだ。カイザリアはガリラヤ湖畔の町ティベリアと同様、イスラエルでは新しい部類に属し、その歴史は旧約聖書の時代にまでは逆上らない。
紀元前3世紀頃はフェニキア人の小村であった。その小村をヘロデ大王が壮大な港町に改築したのは紀元前10年のことで、主イエスの誕生数年前のことである。その後約500年間ここにローマ帝国の総督府が置かれ、ポンテオ・ピラト、フェリクス、フェストゥスなどの総督たちが福音書、使徒言行録(24:27)に登場している、ここからは ポンテオ・ピラトの名入りの碑が発掘されている。