キブツへの道(3)

 或る日、一人の青年が夙川教会を訪ねて来られた。お話を伺うと、彼は作曲家兼ピアニストで、近くで音楽教室を経営しているとのことである。そして作曲がうまく進まず困っているという。

 更に彼自身のことを話されるには彼は10代で単身フランスへ音楽留学をしたこと、そこで大病を患ったが、不思議に癒され、その時「イスラエルへ行け」という声を聞いた。そこで彼はイスラエルに行き、音楽を学びいろいろな経験をして帰国したのだという。

 そして日本で今の仕事をしているのだが、内的にユダヤ人に強く結ばれている人である。夙川カソリック教会の会員(ご両親の関係で)だが、ユダヤ人のために祈っている「聖イエス会」や「原始福音(幕屋)」とも関係しているという。

 彼は、ロシア系ユダヤ人でフランスで活躍した画家シャガールに傾倒していた。そしてシャガールの作品に因んだ曲を何曲か作曲し、神戸の美術館でシャガール展が催された時には、会場でその作品をピアノで演奏しそれが新聞やテレビでも紹介された。

 私は彼からユダヤ人のこと、イスラエルのことなどを何度となく聞くことになった。