エルサレムへの旅(29)

 聖墳墓教会を半ば素通りで見学した後、私達はその正面玄関を出て、石段を上ってそのまま真直ぐ南へ歩いて行った。土産物店が並んでいたが、どこにも立ち寄らず、ゆっくりした足取りで進んでいく。突き当たりまで行くとダビデ通りに出た。そこを右に曲がり西に歩いて行く。ここは狭く暗い石畳の上り坂の道で、左右にいかにも古い土産物店などが、あふれるばかりの商品を並べて売っている。

 キリスト教徒地区なのでキリスト教徒向けの商品(木彫りのもの)が多い。この道をただひたすら黙々と歩いて行く。200mほど歩くと急に明るい広場に出た。ここはヤッフォ門前広場であった。この門の南側にはダビデの塔があり、現在はその一画が歴史博物館(有料)になっている。この塔はダビデには全く無関係で現在ある塔は 1655 年に建造されたものだという。元々は BC20 年にヘロデ大王がエルサレム防衛のために、ここに要塞を築き3つの尖塔を建てた。

 それは壮麗を極めたもので、史家ヨセフスも絶賛していると言うが、現在の塔はただの塔にしか見えない。私たちはここも素通りし、城壁に沿うようにして南へ歩いて行った。こからがアルメニア人地区で、アルメニア正教関連の建物が左手に続くが殺風景な通りである。200mほど行くとアルメニア博物館があるがそこも素通り。その先 100m は何もなく道なりに左に曲がって 100m 行くと今度はシオン門に出た。