エルサレム独り旅(26)

 昼食を終えて、彼らと別れを告げた私は元来た道を歩いてエルサレムに戻ることにした。今度は急な坂を上ることになる。ラザロの墓の入口向いの土産物店に立ち寄って何か良い物がないか捜してみた。聖書時代と同じ形のランプが1ドルで置いてあったので、視覚教材として用いられると思い1個だけ買った(マタイ 5:16)。

 オリーブ山上まで戻ってから、そのまま下るのではなく、山上の大通りを北(スコーパス山の方向)へ少し歩いてみることにした。しかし、これといった見るべきものが何もないので、そこから下って行くことにした。旧市街の城壁が左下に見える所まで来てしまったので道なき斜面を滑るようににして下って行った。

 中腹辺りまで来ると、馬の調教場らしき所があり、その下を横切って更に斜めに下って行くと白い石がゴロゴロ転がっている所があった。この辺りは火打石が産出すると何かの本に書かれてあった。

 聖書の時代にはランプに火を灯すのに火打石を用いたのであろうが、このオリーブ山腹の石を用いていたのであろう。ようやくキドロンの谷に辿り着いたのはベタニヤを出て1時間20分後であった。谷から旧市街のステファノ(ライオン)門まで上るのはきつかったが、そこで日本人の青年に出会った。