キブツ到着(5)

 グループ、リーダーから順々に彼女の家に入らせて頂くと、そこはかなり狭いダイニング・キッチンで、私たち5人が入ると身動きもとれないほどである。正面の壁には大きな食器棚が置かれていて、その前に食事テーブルと椅子、左奥がキッチンだ。

 正面左のドアから背の低い老人が出てこられ、英語で挨拶をした。このツアーは毎年このキブツを訪れているので、私とK婦人牧師は初対面だが、他の三人はすでに顔馴染みで、手を取り合ったりして再会を喜び合っている。

 お茶を出して下さる間、お湯を沸かすところから始めておられるのか、かなりの時間、じっと黙って椅子に座り続けていた。明かりも暗くて、窮屈なので居心地が悪い。

 ようやくお茶が出されて、改めて挨拶と簡単な自己紹介をすると、リーダーのS師とその老婦人とが英語で会話をしはじめた。約2時間会話が続いたが、時々S師がその要約を日本語で私たちに話して下さる。

 この女性はアリーザさんでアメリカ国籍のユダヤ人ということだ。昨年までこのキブツに住みながら、外国人ヴォランティアの担当をしていた人で、今年は全ての仕事を休んでいるのだという。彼女の表情も話し方も、とても暗い感じがした。

アリーザさん(中央)と、吉川牧師夫妻。