松の林の中、貯水井戸の穴の口に大きな石を元通りに戻してから、私たちは東の方へ草を踏み分けながら100mほど歩いて行った。すると眼前に大きな穴が見えた。
近付いて見ると石を掘ったような四角い浴槽の形のものが二槽並んでいた。その大きさは二槽合わせて3m×2m、深さが1.5mほどある。槽に隣接して3m×1.5mほどの長方形のポーチのようなものが地面にあり、その周囲は10cmほどの高さの壁で囲まれている。
ヨハナンによると、これは古代のぶどうの踏み場と酒(ワイン)ぶねだという。収穫したぶどうの果実を踏み場(搾り場、黙14:19)に入れ、それを足で踏み絞るのである。その果汁が酒ぶねの中に流れ落ちて貯まるという仕組みなのだ。
士師記6章でギデオンがミディアン人の略奪を免れるため酒ぶねの中で小麦を打っていた、と記されている(11節)のは、このような所だったのだ。
300人の精兵を選出したエン・ハロド(ハロドの泉、土師 7:1)は、やはりこのキブツから東へ10km行った所にあり、昔この辺りは ぶどう畑が多くあったのであろう。アハブ王が欲しがったナボトのぶどう畑も同様だ(列王上21章)。