エルサレムへの旅(6)

 マサダの要塞を足早に立ち去り、今来た道を引き返し、車は北に向かい、死海北端から南へ5kmにあるクムランへ行く。クムランは死海写本が発見された地として世界的に有名な所だ。私たちはこの公園内に入り、発掘されている遺蹟などを見た。

 周囲はすべてマサダ同様真っ茶色の世界だ。発掘されたのは2000年前のエッセネ派(祭司階級を中心とした人々)の隠遁生活跡で英語の説明プレートが立てられているが、時間の関係でS師による説明もなく、ただ見て歩くだけで、よくわからない。

 大きく深い谷のすぐ向う側に聖書の写本が発見された洞窟の一つがある。書籍などで見た写真でおなじみのものだ。ここで発見されたイザヤ書の写本は世紀の大発見と言われるにふさわしいもので紀元前1〜2世紀のものである。それまでに現存していたイザヤ書最古の写本よりも1000年も古いものだが、その文章はほとんど相異がなく、聖書伝承の正確さが立証される結果となった。

 私たちはクムランの土産物店を見てからエルサレムに向かうのだ。私はキブツを出発する際にらくだのズボン下(下着)を着ていたので、暑くて参ってしまった。死海沿岸の3月下旬の平均最高気温は30度近いのである。