エルサレムへの旅(14)

 昇天記念会堂の敷地内は草木一本生えていない殺風景な空間で園の墓とは対象的である。会堂から出ると門番の少年がテーブルに聖地のポスターや絵葉書を小さな机の上に並べて「ワンダラー、ワンダラー」と懸命に売り込もうとしている。

 見学無料のはずの場所に門番が居るのが不思議だと思っていたが、これが目的だったのだ。ここでは誰も何も買わなかった。そこから南西方向に少し歩くと、エルサレム旧市街と黄金のドーム(神域)が真正面に展望できる絶景の場所がある。グラビア写真(旅行パンフレット)などで見る風景である。

 正面にはイスラム教徒によって閉じられた黄金門が見え、右側の遠方にはステファノ(ライオン)門も見える。城壁の左方向には旧約時代のダビデの町だが、今はアラブ人の家屋がびっしりと建ち並んでいる。それは左に行くほど低くなっている。城壁に囲まれた旧市街の向う側には近代的な高層ビルが見える。ここは最高の観光スポットであろう。