独りヴォランティア(28)

 カナの町のすぐ北を東西に走る道路に沿った広大な土地は西瓜畑である。そして、その道路端では大量の西瓜が積み上げられて販売されている。未だ四月の下旬に入ったばかりなのに…。しかし今日の暑さもすごい!つい一時間前のツファットが嘘のようだ。気分が悪くなる程である。呼吸するだけでも息苦しい暑さである。しかしこの暑さの中で道路脇のあちらこちらに若いイスラエル兵が長袖の軍服を着て銃を持って立ち続けているのには感服してしまう。彼らの努力があってこの国の秩序が維持され、国民(ユダヤ人もアラブ人も)の安全が辛うじて保たれているのだと思う。

 ナザレの町に着いた。中央通りの道幅はかなり広いが舗装が雑で砂埃が立ち込め、町並みが白っぽく見えた。建物も大半が古く雑然としている。路線バスが走っている中央大通り脇に車を止めて、私達は左側の広い道幅の商店街を少し上り坂を歩く。

 すると急に道幅が狭くなりエルサレムの旧市街のような雰囲気になってくる。道は石畳の薄暗い露地で、その両側には土産物店などが並んでいる。先ず、マリアの受胎告知教会堂へ行った。14年もの年月をかけて建てられたフランシスコ派のこの会堂は巨大である。その頂は丸型の三角屋根でこの町の象徴的な建物である。

 会堂内は薄暗く真中の聖堂にはマリヤが天使ガブリエルから受胎を告知された(ルカ 1;26-38)とされる洞がある。でも私達はそこまでは行かず2階の礼拝堂から見下ろすだけで済ませた。