独りヴォランティア(44)

 5/12(木)午後の作業を終えると例によってヨハナンがキブツの周辺を車で巡回してくれた。今回は小川のほとりに行った。雨季が終っていたので水は淀んで溜っていた。青鷺などの鳥が水辺で餌を捜していた。空を見上げると鷲が高い所で風に乗ってゆうゆうと飛んでいる。「主に望みをおく人は新たな力を得、鷲の様に翼を張って上る」(イザヤ 40:31)の聖句を思い起こす。周囲を見るとピーナッツ、トウモロコシ、香草などの広大な畑だ。ピツァの香料となるハーブを収穫している所や、熱帯植物を栽培している畑なども見て廻った。

 キブツに戻るとヨハナンがいいものがあると言って私を食堂裏に連れて行った。そこには一本の桑の木があった。現在の私の部屋の前の巨大な柔の木は葉だけが繁っているが、ここは赤黒い果や末だ緑色の果が沢山付いている。その完熟した果を採って食べてみるとジューシーで甘く、とびっきりの美味しさである。日本でも家の庭で実った桑の果を食べたことがあったが酸味の中に微かな甘味があり食感はザラザラしていたが、ここの果は口に入れると全てがジュースになって口の中で溶けてしまうのだ。

 私の驚き様と感激した顔を見たヨハナンは満足そうであった。私は「タイームメオッド(おいしい)、トダラバ(ありがとう)」と言ってヨハナンに感謝した。