エルサレム独り旅(36)

 ベイト・サフールのアラブ人の教会を出たのは、すでに礼拝が終って挨拶し合っていたのだと思ったからである。しかし当日の日記を読み直してみると聖誕教会を出た時刻は8時50分であった。

 そうすればまだ午前10時頃である。通常の教会の礼拝が始まる時刻だ。もしかすれば礼拝前であったのかもしれない。聖誕教会ではすでに礼拝が進行中であったので、この時間には礼拝が既に終わっていたと勘違いしてしまったのだ。今、この文章を書いていて気付いた。残念なことをした。絶好の機会であったのに。

 更に南に下って行くと、若い女性が子供達 10人程を先導して歩いていた。先程の教会堂とは比較にならない程大きな会堂の壁面伝いに歩いていたので教会学校の先生と子供達なのだろうか。そこは素通りして歩いて行くと「シェパーズフィールドへようこそ」という立看板が目に入った。

 この辺りから平坦な土地がずっと広がっていた。そこをカメラに納めて歩いて行くと刈入れが終わった麦畑のような地が道の右側に広がっていた。ここがボアズの麦畑であったのかと思わせられるように私には見えた。

 この畑の中に入って写真を撮ろうとすると、その道向かいにある店の初老の男性が私を見ているのに気付いて、私は彼に手の動作で「そこに入っていいか」と尋ねると彼は首を横に振ったのでその店に入ることにした。