エルサレム独り旅(35)

 ベツレヘムの聖誕教会の南に隣接している地域はベイト・サフールというアラブ人の村である。アラブ人の他の村々と似た雰囲気があるが、どこか清潔感が漂い家々の敷地も広く見える。洋風の建物が並び、庭も手入れされている家が多い。

 道を歩きながら周囲を見渡すと教会らしき建物が三つも見える。道の左側にある教会の前まで来ると、礼拝に集まって来ている人々がいたので、そこに立ち寄ってみることにした。

 教会堂の入口は道路に面してはおらず、教会の敷地の露地を数メートル入った右側にある。左側は柵に囲まれた駐車場で、その柵の上には鉄パイプ製の星のモニュメントが建てられている。聖夜の星をシンボルとしているのであろう。

 教会堂の玄関からロビーに入ると、そこに多くの人々がおり、その奥の礼拝堂にも多くの人々が集まっていた。私が驚いたのは、この教会の雰囲気に全く違和感を覚えなかったことだ。

 日本の何処にでもある福音派の数会と同じなのだ。簡素な講壇と、その左側には奏楽用のオルガンがあり、礼拝後の報告をしているような感じであった。私は誰かに語りかけようとしたがアラビア語ではどうにもならないし、私に感心を示してくれる人も皆無だ。牧師に合いたいと思ったが断念して外に出た。