ヨハナンによるキブツ内の植物・遺跡案内は、このぶどうしぼり場(酒ふね)でほぼ終わりである。
松の林を出て、私たちは、北西側の小さな丘の上に建てられた物見の塔に向かった。この辺りも古代遺跡の上にあるらしく、石造りのアーチ型ゲート(門)が草の中に立っていたりする。
物見の塔は高さ5m、縦横4mの四角いコンクリート製のものでキブツ製である。北側の入口から入ると鉄製の階段が屋上まで続いている。壁の四方には四角い窓があり、屋上は高さ1mくらいの壁で四方が囲まれている。
これはアラブ諸国との四次にわたる戦闘のためのもので、四方の外壁には無数の銃痕が残されていて、ここが激しい戦場であったことを物語っている。この頃は表面的には平和で、キブツ内では何人ものパレスチナ人が働いているし、食堂でも一緒に談笑しながら昼食をとっている。
私はその屋上から東側にあるドタンの地が見えないかと背伸びして見たがすぐ前の丘の松林に遮られて全く見ることはできなかった。