タクシーはクムランから5kmほど北上し死海北西端まで戻り、そこから進路を西に向け、エルサレムに上ってゆく。エルサレムの標高は約800m、死海との標高差は1200mもある。距離は約35kmなのでかなりの上り坂である。
茶色の岩山を上りつづけて行くと途中にベドウィン(遊牧民)のテント(濃い茶色)やその周囲に黒や薄茶色の山羊や羊たちが見える。エルサレムに近付くとアラブ人の村と思われる地域に入り、舗装されていないガタガタ道を走る。街並みは古く雑然としている。オリープ山を回る道とは別の道を通ってエルサレム市街に入って行くようである。
やがて車は旧市街のダマスコ門までやって来た。そこから北へ400mほどの所にある古い旅館の前に停車した。今夜はここで宿泊するのだ。アラブ(パレスチナ)人の経営する宿である。宿の中は薄暗く、部屋も古く、ドアもガタついている。壁はひび割れて、ベッドも古い。きっと料金は安価なのであろう。この宿の利点は旧市街に近いということだ。
部屋に荷物を置いた私たちは、すぐ外に出て歩き出した。そこから東へ5分も歩かないうちに園の墓(ゴードンのカルバリー)と呼ばれている所に来た。