両側を石壁に囲まれた路地を50mほど歩いてゆくと右側に「園の墓」の入口がある。そこから入るとすぐ左手にこの園の事務所の窓口がある。女性の事務員から明るい声で「あなたのお国は?」と声をかけられたので「日本」と言うと日本語のパンフレットを下さったのには驚いた。
この施設は入場無料で、この小さなパンフレットも無料であった。この「園の墓」はヨハネの福音書 19:41「イエスが十字架につけられた所には園があり、そこには、だれもまだ葬られたことのない新しい墓があった」から取られた名である。園の名にふさわしく緑に包まれた小公園だ。
背丈の高い木々をぬうように石の小径が続いていてその両側には小木や草花がぎっしりと植え込まれている。その所々に小集会が出来るようにベンチが設けられている。私たちはその庭の一番奥まで歩いて行った。そこには屋根付の木製のテーブルとそれを囲んでベンチが置かれている小さな展望台のようなものがあった。その先の下方を見ると、そこはアラブ系のエルサレムのバスステーション(ターミナル)である。そしてその左手に巨大な人の頭蓋骨のような岩が私たちの眼前に迫っている。両目や口に当る部分が空洞になっていて、まさに「しゃれこうべ」(ゴルゴタ、ヨハネ 19:17)だ。