エルサレムへの旅(32)

 「最後の晩餐の部屋」の建物の一階部分の入口は閉められており、現在何に使われているのか分らなかった。そこから棟続きの建物を右に曲がるとダビデの墓と言われる部屋に行き着く。そこは薄暗く、その左側の部屋の低い鉄柵の向こう側に特大の棺が濃い赤紫色のビロードのような布で覆われて安置されその布の正面の中央に 30cm 大のダビデの星が白色で刺繍されてある。その周囲に小さなヘブライ文字で何か書かれている。最初の文字はダヴィドと読める。

 ここには年輩のユダヤ教徒らしき人がたむろしている。多分、管理している人々であろう。伝えられるところによればダビデの墓は紀元 135 年のバルコクバの乱の時にローマ軍によって破壊されたことが伝えられている。近年の調査によると、この建物は1世紀頃に建てられたシナゴーグ(ユダヤ教会堂)であったらしいという。こんなシオン山上にダビデの墓が設けられているとは考え難い。私達は10分程でここを離れ鶏鳴教会に向かった。