独りヴォランティア(7)

 イスラエルには2000年前の遺物や遺蹟がそこかしこに残されている。このキプツ・マアニットもその頃の遺丘の上にあって、住民の中に発掘品のマニアも居ると聞く。しかし公機関による発掘は手付かずである。奈良県下では先日卑弥呼の邪馬台国跡らしき遣蹟の発掘ニュースが大きな話題となったが、それらは2〜3世紀頃のものである。

 しかし、マアニットの遺跡はそれよりも2~3世紀以上も古いのである。毎日この道を歩いていたのにドフ氏に指摘して頂くまで全く気付かなかったのだ。又、「これがレバノン杉だよ」と指してキブツ内に植えられているのを教えて下さった。そして「今夜はハガダーと呼ばれる出エジプト記の物語を朗読して、歌ったり踊ったりするんだ」とも言われる。

 イスラエルに住んでみると、ここが正に聖書の世界であり、ユダヤ人達は聖書の民であるという事、そして自分が今その真っ只中に居るという事をじわじわ実感してくる。イスラエルはもっと国をあげて貴重な遺跡の発掘に力を注いで欲しいと切に願うのであるが、現状はあまり進んでいない。それどころではないのだ。

 国防の為の予算が莫大なので国民の福祉の為の予算さえ不足している。遺蹟の発掘の為の予算は当然後回しになるのである。その為に多くの発掘は外国人(大学)の発掘隊が自費で発掘に来るのである。日本からも奈良の大学の発掘隊が来てガリラヤ湖東岸の発掘をしていた。イスラエルでの遺跡発掘のヴォランティアも募集されている。ハツォール、メギド、エルサレム、ベテシュメシュ、マレシャ、ダンなど、私の滞在中に発掘がなされていた。