独りヴォランティア(11)

 過越の食後アロンに明日の作業のことを尋ねると「明日は過越祭休日だ」と言う。この年は過越祭が日曜日と重なっていたのだ。食堂から部屋に帰る時、空には美しい満月が輝いていた。そう言えば過越祭は春分の日の次に来る満月の日に始まるのであった事を思い出した。

 3月27日(日)バナナ畑に行き一人で礼拝の時を持つ。ルカ福音書20章~22章を朗読し、イスラエル、日本、家族、夙川教会最後の礼拝のために祈る(時差のため既に日本ではお昼過ぎになっているが…)。午後3時頃に窓の外に見える北側の丘に行ってみた。

 そこはもうウェストバンク(ヨルダン西岸のパレスチナ地域らしく、アラブ人の牧場であった。そこの主人らしき人に挨拶をすると、「いつから来ていつまでいるのか」とか「牛の糞があるので足元に気をつけなさい」と語りかけてくれた。

 丘の西側に石を積み上げた遺蹟らしきものが見えるので行ってみると、ドーム型の門や家屋らしきもの、通路のようなものがあって、やはりこの丘も遺丘のようだ。丘の上まで登ると視界が開けてシャロン平野が一望できた。シャロンの野を東西に走るアフラ街道を自動車が行き交っている。

 西側にはハデラの町を象徴する 3 本の高い煙突が見える。その直ぐ北側にはカイザリヤがあるはずだが見えない。その少し北側にはかなりはっきりと丘の上の町が見える。ワインの町ジクロン・ヤアコブらしい。その遥か彼方の山の上にも町が見えるのがカルメル山のようだ。