独りヴォランティア(57)

 キブツ・マアニットには常時、アラブ人も出入りしている。ここではアラブ人もユダヤ人もとても友好的に暮らしているように見える。昼食時には何人ものアラブ人がキブツの住民と談笑しながら食事をしている。

 とうもろこし畑の除草作業の為に来た十数名のアラブ人達は臨時に雇われた人達だ。アラブの村には良い働き場が少ないので、キプツでの仕事が入ると喜んで働きに来るのだと云う。ヨハナンが言うには「ユダヤ人を雇うより、アラブ人を雇う方が人件費が安く、半額以下で済む」のだそうだ。

 それでもアラブ人達は自分達の村で働くよりは10倍もの収入(時給)になるのだ。ユダヤ人の下で仕事を得ているアラブ人達は、アラブ人社会の中では高給取りで、良い家を持つ事が出来るのだ。同じ距離でもイスラエルのタクシーでは 40 シェケル要るのにアラブのタクシーでは 1.5 シェケルであった事を思い出す(ベタニアからエルサレム旧市街のライオン門まで、車は同じベンツの9人乗り)。

 イスラエルの地にキブツが出来てから、キブツでの仕事を求めるアラブ人達がパレスチナの地に殺到し、この地のアラブ人人口が急激に増加した理由が、これでよく理解出来る。この人達の多くがイスラエル建国の混乱で難民となって、「自分達は先祖代々この地に住んでいた。」と主張する事で、ユダヤ人達が苦労して開拓した農地を自分達のものだと主張している人々も多くいるのが現実なのだ。