エルサレム独り旅(3)

 ヤッフォ通りを旧市街に向かって南東方向に歩いて行くが道を外れてしまい、遠回りをし少し時間をロスしてしまった。ヤッフォ門に着いた頃には夏至に近い太陽も西に傾き始めていた。ヤッフォ門の前の道路は北はナブルス(シェケム)、南はベツレヘムからへブロンに通じる道で車の往来は激しい。

 そこから西側を見ると直ぐ前がヒンノムの谷である。この辺りの谷はそれ程深くなく、谷幅も広い。斜面はなだらかで美しく芝が敷き詰められており、人々がテニスやサッカーをして楽しんでいる。

 谷の向こう側の丘の斜面から頂上には築後百年ほどのユダヤ人の住居や店舗が建っている。その一画にはヘロデ王家の墓が残されているのだが、時間があれば見てみたい(結局行けなかった)。

 ヤッフォ門は旧市街の西側にある唯一の門であるがヒンノムの谷は旧市街の西側から南側にある。因みに東はキデロンの谷である。ヤッフォ門前の道路を南へ歩くと直ぐに谷へ下って行く道がある。

 そこを下って行くと谷を貫いて向こう側の丘に通じている道と南へ行く道に分かれていて、南側に行く道にはアケルダマという表示と矢印のある看板が立てられていた。使徒言行録1章19節に出てくる地名だ。私は目を見張ってその看板を見、心はときめいた。