エルサレム独り旅(4)

 シオン門前からヒンノムの谷の中ほどまで降りて行き、舗装道路から左に外れて芝の上を南側に降って歩いて行く。

 ヒンノムの谷を散策しようとする人は一人もおらず、ましてや観光コースでもないので旅行者もなく、ここからは全くの独り歩きになる。案内地図もなく唯ひたすらに谷を歩くだけだ。

 何故この谷にこだわりがあるのか、それは私達アドベント・クリスチャンが信じている信仰に関わりがある場所だからだ。

 アドベント教理に条件的不滅という信仰理解がある。主イエスを救い主と信じ受け入れる人に神は永遠の命をお与え下さると約束して下さっているが、この恵みを信じない人は滅びると聖書に明記されている。(ヨハネ福音書 3:16)

 この「滅びる」とは地獄(ゲヘナ)で焼き尽くされて消滅すると信じているのである(マタイ福音書 10:28)。この地獄の原語「ゲヘナ」がへブライ語では「ヒンノム」、「ベンヒノム」の谷なのである。この谷でユダの王が偶像に息子や娘を人身供犠としてささげ(歴代下28:3、33:6、列王下23:10)たため、エレミヤは、ここが「殺戮の谷と呼ばれる日が来ると予言している(エレミヤ7:31.32、19:5.6)。後にゴミの焼却場となり。日夜、火が燃え続けていたという。