エルサレム独り旅(28)

 問答無用で投石してきたアラブ人少年たちと私の目があった時、彼らはすぐさま屋上の物陰に身を隠した。つい先程ベタニアでアラブ人青年たちの厚意を受けた私は、この狂ったような少年たちの行為に戸惑いを覚えながら、ベテスダの池を捜すことを今回は諦めてエッケホモの教会に向かった。後でわかったのだが、この時は昼食時間で門が閉じられていたのだ。

 「エッケホモ(この人を見よ)」教会は、ベテスダの池がある聖アンナ教会から真っ直ぐに西へ200m程歩いた所の右側にある。ノートルダム・シオン女子修道院の建物がローマ総督ピラト官邸跡にあり、現在はエッケホモ教会の名前で呼ばれているのだ。この場所で主イエスがピラトによる審きを受けたのだという。(ヨハネ 19:5)

 勝手に中へ入って行ってよいのかわからなかったので、ロビーからドアのガラス越しに礼拝堂を覗いてみた。奥にある祭壇の後ろに十字架に架けられた主イエスの像が見えたが、5分ほどでここを去り、園の墓へ行くことにした。園の墓はS師たちとのツアーで一度訪れており、もう一度ゆっくり見たい所である。ダマスコ門から出てアラブ人に 50ドルをシェケルに両替してもらった。145シェケルであった。