エルサレム独り旅(34)

 聖誕教会の東側に添って南北につながっている道を南に向かって歩き始めた。全く初めての道で地図を持たずに歩くのだが、以前ベツレヘムに来た時に聖誕教会の裏(南)側から見た美しい野(畑)を目指すことにした。

 道はかなり急な下り坂だ。道のすぐ右が聖誕教会に隣接しているが、左側はかなり深い谷である。絶壁という程ではないが、すり鉢状の傾斜で高所恐怖症の私が下を覗き込むと身がすくむ程である。

 2000 年前の夜に羊飼い達が飼葉桶に寝かされている幼な子を捜し歩いた所は、こんなに深い谷のある危険な地形であったということが、ここに来て見て初めて判った。

 当時は道が今ほど整備されていなかったであろうから、容易な事ではなかったと想像される。しかし、キリスト(救い主)にお会いするためには、どんな困難をも乗り越えて行く価値がある。キリストの恵みを知る価値は測り知れず、どんな犠性を支払ってでも、それを捜し求てゆくことの大切さを羊飼い達から教えられる思いがした(ローマ 8:18、フィリピ3:7,8)。

 聖誕教会の敷地から少し下った所に小さな商店があったので、ここに入ってドリンクを買い求めて喉の渇きを潤す事ができた。更に少し下って行くと道が左右に別れていたのでどちら側に行こうか少し迷ったが、美しい野原の方に行きたかったので右側の道を歩いて行く事にした。