エルサレム独り旅(39)

 聖墳墓教会のゴルゴダの丘で暫く立ち止まって、途切れる事のない巡礼者達を見せてもらう事にした。東欧からの巡礼者達は女性の衣装で推測できるが、その殆んどが十字架像の前で膝まづきキリストの足か床に接吻して行く。カトリックではなくオーソドックス(ギリシャ正教)系の姉妹方であろう。

 イスラエルに来て各地の遺蹟を見て回る事は素晴らしい体験である。それと共に諸外国から来る観光客や巡礼者達との出会いも興味深いものがある。園の墓や受胎告知教会等では巡礼者達がそこで礼拝(ミサ、聖餐式)している光景を見ることができる。

 ゴルゴダの丘から降りると十字架から降ろされたキリストが安置されたと云うステーションがあり、そこを通り過ぎて行くと右手に聖墳墓(キリストの墓)がある。その見学者達の長い行列がいつも途切れる事もなく続いている。神父達は常にその行列に目を光らせている。

 ノースリープや膝頭が見える衣類を身に着けている女性を除く為である。キリストの墓はとても広い空間(敷地)の中にある、天井も非常に高い、会堂のドームの真下にあるのだろう。

 薄暗く空気は湿っぽく冷んやりして、香の煙で霞んでいる。堂内は工事中で多くの足場が組まれていて、雑然としていた。