エルサレム独り旅(38)

 エルサレム行きのアラブの路線バスの運転手が私にいろいろと話しかけて来た。アラブの路線バスに乗る東洋人が珍しいのだろうか。日本がパレスチナ自治政府に多額の支援をしているためか、イスラエルのアラブ人の日本人に対する見方はすこぶる友好的である。

 バスは 11時50分にエルサレムのバスステーションに着いた(園の墓の東側に隣接している)。ダマスコ門を通って旧市街に入って行くと丁度昼時になったのでヤッフォ門の方に向かった。食事に良い店が多くあるとガイドブックに書かれている。

 しかし、その途中に聖墳墓教会があったので、内部をゆっくり観察してみようと中に入った。薄暗い堂内を歩いているうちに、お腹の具合が怪しくなってきた。トイレを捜したが見つからないのでガードマンや神父に尋ねてようやく用を足すことが出来た。ベツレヘムで飲んだジュースが多過ぎたようだ。ここのトイレは和式に似ているがずっと粗末で不潔だった。

 そこからゴルゴダの丘とされている所へ戻り(正面入口のすぐ右手)、狭い階段を上った。そこにはキリストの彩色の十字架像が立てられている。特設の床から下を覗いてみると岩の上にこの十字架が立てられていることがわかった。ここへは世界中から巡礼者が次々と訪れて来ている。