再びキブツ生活(10)

 エロンの体験談を聞いていると、困難や貧しさが人を不幸にするのか、順境と豊かさが人を本当に幸福に導くかどうか、キブツの現状を見るまでもなく、今の日本を見ても同様の現象が見て取れるのではないか、深く考えさせられることである。

 どのような土台の上に今の私達が築き上げられているのか、これは信仰者である私達が決して見失ってはならない視点でもある。私達の土台とは言うまでもなくイエスキリスト(の十字架と復活)である(コリントI、3:11)。尊い犠牲の上にあるということを。

 夕食後、エロン夫妻宅を訪ね、明日の除草場所を尋ねた。彼らは私が帰国する際に彼らの庭にあるカンナやゼラニウムをたくさん持ち帰るようにと言ってくださった。

 7/19(火)早朝からエロン宅の庭の除草作業、そして全てを完了した。夕刻になって隣室のヒレルが両手に何かをぎっしり詰め込んだビニール袋を持って私の部屋にやって来た。そしてその袋から乾燥して黒くなったいなご豆の莢(さや)を一本取り出して私に食べてみらと言う。そして彼が先ず自分で食べ始めたので私も食べるとにした。

 果肉が少なく表皮が硬くパサパサなのでなかなか喉を通らないが味は子供の頃によく食べた椋(むく)の小さな黒くなった実に似ていると思った。レーズンサンドのクッキーとも似た味なので噛んでいると甘い汁が出てくる。私はなかなか飲み込めなかったがヒレルは食べている。