最後の2週間(34)

 ナブルスの町を車で走ると、「ヨセフの墓」の案内標識があったが、運転手の青年はその場所を見つけることが出来ず、やがてヨルダン川方面へと下って行ってしまう。途中で民家に立ち寄り婦人に何か尋ねているが、それでも分からないらしい。

 私たちはこれでは希望する場所の見学は無理だと判断し、すぐにキブツに戻ることにした。時間を無駄にするだけだからである。ナブルスからセバスティア(サマリヤ、ここも見学したかった)の直ぐ西を北上し、ドタンの谷(ヨセフが兄たちにエジプトに売られた所)を通過し、ジェニンの街(パレスティナ人のテロリスト養成所がある町)を通過すると検問所があり、若いイスラエル兵が銃を手にして車を止めて青年を尋問した。そこからメギドを通ってキブツに戻ったのは昼過ぎであった。

 この計画は完全な失敗であった。サマリヤ地方にあるベテルやシロをも含めた旧約時代の遺賾を見る絶好の機会であったが、タクシーを用いる方が賢明であったことが、この経験を通してよく判った。

 夕食後へレナ宅を訪ねアップルケーキとジュースの接待を受けた。この家の電話を借りてK姉は英国在住の地姉に電話をかけた。その後食堂に戻ってティベリアに住んでおられるスターンズ師に電話をし、三日後の土曜日にティベリヤへ二泊の予定で行くことを伝えた。(スターンズ師は米国のアドベントの神学校で教えておられた方でリタイアした後、奥様がユダヤ人であるのでイスラエルに滞在しておられる押方師より連絡先を教えて頂いたので連絡を取ることが出来て感謝であった。)