ツアーの人々との団体生活(2)

 アボカドの収機作業は単純平易で、両手にポリバケツを持ち、手の届く高さ迄の枝から摘み取った果実をそのバケツに入れ、山盛り一杯になると小型トラクターのリヤカーの箱に入れる。その繰り返しである。私にとっては、大変楽な作業で、毎日この程度の作業ならばありがたいと思った。湿気の多い朝の空気は爽やかで、楽しい気分で作業を続けることが出来た。

 アボカド畑のキブツ住民担当者は2人の男性で、あまり仕事熱心には見えなかった。休憩時間がひどく長かったり(その分、ヴォランティアの仕事の終了時間は大幅に遅れる)、 休憩時間中にビールを飲んだりして、ヴォランティアだけを働かせて、自分たちは見ているだけという人物であった。

 今は日本でもほとんどの食料品店にアボカドが並べられているが、私はこの時まで食べることはおろか見たこともなく、その名も初耳であった。一本の木に二種類の実が成り、一方は私たちが店頭で見る表面がブツブツしているもの、他方は表面がつるつるで緑のまだら模様のものである。

 皮がブツブツのものだけ収穫し、つるつるのものは地面に捨てなさいと言われた。商品として売れるのはブツブツのものだけで、つるつるのものはキブツの住民の食用にされていた。