ツアーの人々との団体生活(11)

 今日はバナナ畑の責任者ヨハナンが私たち日本人ヴォランティアのためにキブツ内を案内してくれることになっていた。それで、仕事を終えるとすぐ中央食堂に集合した。彼はイスラエル生まれのユダヤ人で当時50才代の男性である。

 イスラエルではイスラエル生まれのユダヤ人のことをツァバル(サボテンの実)と呼ぶ。外見は厳めしいが内側は甘くて美味しい(優しい)のだという。ヨハナンは典型的なツァバル(通常日本ではサブレと呼ばれる)で頭髪は真っ黒で縮れ、眉は太く、髭は濃い。瞳は黒く、腕や脛は毛が濃く、皮膚は浅黒い。イラクの遺蹟から発掘されたアッシリア王のレリーフによく似た風貌である。

 ヴォランティア世話係のアロン、カナダから来たユダヤ人ヴォランティア、ヒレルもよく似た風貌で、旧約聖書時代からのユダヤ人の血をそのまま受け継いでいるのではないかと思わされる。

 ヨハナンは自分はイエスをメシヤと信じていると言う。しかし、S師は「ヨハナンは、ドイツ人が創設した異端を信奉している」と語っておられた。そのヨハナンが大きくて厚い英語聖書を開いてキブツの中を案内し、S師が通訳をして下さった。

左:アロン 右:ヨハナン