ヨハナンが話すには、いなご豆のさやは完全栄養食品で、水とこれがあれば人は生きてゆけるのだという。古代の修行僧たちは、このいなご豆と水だけで生活していたそうだ。
この時は未ださやが緑色だったので食することはできなかったが、後日食べてみた。レーズンのような味と甘みがして不味くはない。しかしカスが口内に残り、喉にひっかかるようで食感が悪い。父のもとで贅沢(ぜいたく)な暮らしに馴れていた放蕩息子には、これで空腹を満たすことは困難だったであろう。これは貧しい人々の食べ物なのだ。
イスラエルではどこでも見かけるありふれた植物である。この種子は形も大きさも西瓜の種とそっくりで、西瓜の種より僅かにふっくらとしていて色は小豆色である。
種一個の重さがどれもほぼ同じということで、このいなご豆一粒の重さが宝石の重さの単位(カラット)とされていることをヨハナンから聞いてはじめて知った。いなご豆の木の学名はカラトニア・シリクアである。
又この木は銀杏やキウイと同じく雄と雌の木が側に植わっていないと実をつけない。日本でも育つ。昨年、大阪の牧師が教会の庭で実を結んだ、と写真付きで或る紙面で報告しておられた。あすか野教会でも苗が何本か育っている。